神埼市神埼町城原 西 スモさん(28)

  ほんにあの、ご本人喜んでちょっとお寺詣りばあの、

毎日でもよかち言(ゆ)うごたふうでなたあ。

そうしたところが、そのお婆さんの方がそのお寺に詣った時ちょっと嫌い。

そうしてもう、一生懸命なって、ちょっと詣りよんさったところが、

いっぺんあの、脅してみゅうで思うてなたあ、

余(あんま)い詣(みゃ)あけんがらなたあ、でけんけん。

そいぎぃ、あの面ば被(かぶ)って、ちょっと晩に帰んさっとば待ち構え脅しぎゃ[]

ちょっと、お婆さんが行たわけ。

そうしたところが、その、あぎゃんと[あんなに]、

お嫁さんのほんに、喜んで帰って来よんさって。

そがんとの、[そんなのが]出たもんじゃびっくりして、

ちょっと家さいかけて帰んさったもようたんたあ。

そいぎその、お婆さんも、後うぅて[追って]帰ろうで思うて、

その面ば取ろうとしんしゃったところが、その面が取れんじゃった、

どがんしても[どうしても]。

そいぎもう、自分の家(うち)帰って、納戸には入(い)って、

外そうでして出て来んさったばってん、のかん[取れん]じゃった。

そいば、蓮如上人(れんにょしょうにん)さんのちょっとそこに行たて、離しんさって。

そして、そのお婆さんもその、起こりの話ば聞いて、そして、

ちょっと心のやわらいでじゃろうなた。

そしてお面の取れたて。

 〔文化叙事伝説 (聖者の事業) 

(出典 吉野ケ里の民話 P205)

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