神埼市神埼町城原 西 スモさん(明28生)
ほんにあの、ご本人喜んでちょっとお寺詣りばあの、
毎日でもよかち言(ゆ)うごたふうでなたあ。
そうしたところが、そのお婆さんの方がそのお寺に詣った時ちょっと嫌い。
そうしてもう、一生懸命なって、ちょっと詣りよんさったところが、
いっぺんあの、脅してみゅうで思うてなたあ、
余(あんま)い詣(みゃ)あけんがらなたあ、でけんけん。
そいぎぃ、あの面ば被(かぶ)って、ちょっと晩に帰んさっとば待ち構え脅しぎゃ[に]
ちょっと、お婆さんが行たわけ。
そうしたところが、その、あぎゃんと[あんなに]、
お嫁さんのほんに、喜んで帰って来よんさって。
そがんとの、[そんなのが]出たもんじゃびっくりして、
ちょっと家さいかけて帰んさったもようたんたあ。
そいぎその、お婆さんも、後うぅて[追って]帰ろうで思うて、
その面ば取ろうとしんしゃったところが、その面が取れんじゃった、
どがんしても[どうしても]。
そいぎもう、自分の家(うち)帰って、納戸には入(い)って、
外そうでして出て来んさったばってん、のかん[取れん]じゃった。
そいば、蓮如上人(れんにょしょうにん)さんのちょっとそこに行たて、離しんさって。
そして、そのお婆さんもその、起こりの話ば聞いて、そして、
ちょっと心のやわらいでじゃろうなた。
そしてお面の取れたて。
〔文化叙事伝説 (聖者の事業)〕
(出典 吉野ケ里の民話 P205)
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