神埼市神埼町竹原 横尾ノブさん(明32生)
吉野ヶ里のなたあ、
餅搗(つ)きないよったてっちゃんなたあ。
そいぎぃ、お大師(だいし)さんのごたっとの「
空腹(ひもし)かけんが、餅ばくれんかんたあ[くださいよ]」
ち、言いんさったてっちゃん。そうしたら、
「お前(まりい)くるっ餅はなか」って、言いんさったてっちゃん。
そいぎぃ、吉野ヶ里はお大師さんば建てとんさんもん[建てられてる]なたあ。
そいぎぃ、二つあげぇちゃったてったんたあ。
餅搗いてしもうてから、神棚に。
そうしたら、お大師さんの、
「くいろ」て、言いんさつたばってん、
「お前食わす餅は家(うち)やなかよ」て、言いんさったぎと、あげぇちゃったぎね、
全部(しっき)やあ石になっとたて。
そいが今でもあってよ。見たごとなかばってん、話のあいよった。
余(あんま)いこすう[ずるく]しんさったけんね、
あげてから引きゃあ行きんさったて。
「俺、(おい)くるっ餅のなかない、そりゃあ何(なん)なっとん変わろうだい」
ちて、お大師さんの返しござったて。
そして、石になっとたて。そいやっぱい、今の、あの吉野ヶ里のお寺にあってよ。
そいけん、欲深かぎなた、そぎゃん変わっち。
〔文化叙事伝説 (神)〕
(出典 吉野ケ里の民話 P199)
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