神埼市神埼町竹原 横尾ノブさん(32)

  吉野ヶ里のなたあ、

餅搗(つ)きないよったてっちゃんなたあ。

そいぎぃ、お大師(だいし)さんのごたっとの「

空腹(ひもし)かけんが、餅ばくれんかんたあ[くださいよ]」

ち、言いんさったてっちゃん。そうしたら、

「お前(まりい)くるっ餅はなか」って、言いんさったてっちゃん。

そいぎぃ、吉野ヶ里はお大師さんば建てとんさんもん[建てられてる]なたあ。

そいぎぃ、二つあげぇちゃったてったんたあ。

餅搗いてしもうてから、神棚に。

そうしたら、お大師さんの、

「くいろ」て、言いんさつたばってん、

「お前食わす餅は家(うち)やなかよ」て、言いんさったぎと、あげぇちゃったぎね、

全部(しっき)やあ石になっとたて。

そいが今でもあってよ。見たごとなかばってん、話のあいよった。

余(あんま)いこすう[ずるく]しんさったけんね、

あげてから引きゃあ行きんさったて。

「俺、(おい)くるっ餅のなかない、そりゃあ何(なん)なっとん変わろうだい」

ちて、お大師さんの返しござったて。

そして、石になっとたて。そいやっぱい、今の、あの吉野ヶ里のお寺にあってよ。

そいけん、欲深かぎなた、そぎゃん変わっち。

〔文化叙事伝説 ()

(出典 吉野ケ里の民話 P199)

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