神埼市神埼町姉川下分 城島ノウさん(35)

 花嫁さんのさい〔ね〕、ちょっと来んさった。

そうしたいば〔そうしたら〕来てから、

色蒼(あお)うしてもう、悩んでその、苦しゅうしてたまらんて。

「なし〔なぜ〕、そがん〔そんなに〕しとっかん〔しているね〕」ち。

「もう、ちょっと人には言われん」て。

「なし、言われん」ち。

「もう一大事じゃいけん、言われん」ち、なた、

そがん〔そのように〕言わしたて。そうしたいばその、

「言わじにゃ〔言わなきゃ〕どがんしゅうも〔どうしようも〕なかろうもん」て。

そしたぎその、

「よかけんが、もう無理(むい)せろ」て。

そうしたぎその、一生懸命、屁ふろうごたっ〔ふりたい〕」ち、言わしたて。

そんないその、

「屁ぶってみやい」て、言いなったいば、もう、恐ろしかその屁ぶらしたれば、

棚でん何でんワイワイワイワイで、品物の落ちてしもうたもん。

棚でん何でんゆすい〔揺れ〕崩したち。

そがん言うて、ほんに聞きよったですよ。

そいばあっきゃ。 

〔大成 三七七 屁ひり嫁 (cf.AT一四五〇)

 (出典 吉野ケ里の民話 P135)

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