神埼市神埼町姉川下分 城島ノウさん(明35生)
花嫁さんのさい〔ね〕、ちょっと来んさった。
そうしたいば〔そうしたら〕来てから、
色蒼(あお)うしてもう、悩んでその、苦しゅうしてたまらんて。
「なし〔なぜ〕、そがん〔そんなに〕しとっかん〔しているね〕」ち。
「もう、ちょっと人には言われん」て。
「なし、言われん」ち。
「もう一大事じゃいけん、言われん」ち、なた、
そがん〔そのように〕言わしたて。そうしたいばその、
「言わじにゃ〔言わなきゃ〕どがんしゅうも〔どうしようも〕なかろうもん」て。
そしたぎその、
「よかけんが、もう無理(むい)せろ」て。
そうしたぎその、一生懸命、屁ふろうごたっ〔ふりたい〕」ち、言わしたて。
そんないその、
「屁ぶってみやい」て、言いなったいば、もう、恐ろしかその屁ぶらしたれば、
棚でん何でんワイワイワイワイで、品物の落ちてしもうたもん。
棚でん何でんゆすい〔揺れ〕崩したち。
そがん言うて、ほんに聞きよったですよ。
そいばあっきゃ。
〔大成 三七七 屁ひり嫁 (cf.AT一四五〇)〕
(出典 吉野ケ里の民話 P135)
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