神埼市神崎町姉川下分 増田善志さん(明36生)

 ある日、ビッキーが買い登り〔上京〕しゅうで思いよった。

そいぎもう、

「一山超(ひとやまこ)すぎにゃあと、あぎゃんと、京都の街のしるっけんが」

そうして、トッコトッコ、山さいいたてぇ。

そうして、ちょうど、頂上に行たぎにゃあと、

蛙がちょっこと立ったもんで、ちょっとえてみたぎぃ、

「なぁーいこ、〔なーんだ)『京都』ち言うて、

家ん辺と(うちんにきと)いっちょでん変わらんじゃっかあ」ち。

わが目の後れぇ(うしれぇ)ちいとったあ、ちい忘れて。そして、

「家ん辺といっちょでん変わらんけん、もう、行たっちゃ同しこと」ちて、帰ったち。

そいばあっきゃ【それでおしまい】。

〔大成 三〇八 京の蛙大阪の蛙〕

 (出典 吉野ケ里の民話 P122)

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