神埼市神埼町本堀 香月今朝一さん(明42生)
とにかく、化け物退治があって。
ここの部落に地蔵畑ちてあんもんなた。
そけ〔そこ〕にほんに狸の古かとのおったもようたんたあ。
こいがもう、ずっと立派(じっぱ)か家(えのち)ば、もう晩な作ってみすんもようじゃんなた。
そいぎと〔そしたら〕昔ゃあ、禅門ておったろうがあ。
あいがもう、余(あんま)い立派か家のあんもんじゃあ、
こりゃ騙しゃされとんみゃあかあ〔騙されてないだろうかあ〕と思うて、
まあ、そけえ〔そこに〕泊まったもようたんたあ。
そいぎと、着物(きもん)の破れとったもんじゃい、
木綿針の太かとで、そして、繕(つくろ)いばしてなた。
そいぎぃ、こりやどういうふうじゃいきゃん〔だろうか〕と思うて、
余いよかもんじゃい、木綿針ば刺しゃあたちゅうたんたあ。
そいぎもう、狸の金玉に抜かったもんじゃいなた、びっくいして。
そいから先や騙さんごとなったて。
〔大成 二六六 狸の八畳敷 (AT一一三五、一一三七)〕類話
(出典 吉野ケ里の民話 P106)
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