神埼市神埼町本堀 香月今朝一さん(42)

 とにかく、化け物退治があって。

ここの部落に地蔵畑ちてあんもんなた。

そけ〔そこ〕にほんに狸の古かとのおったもようたんたあ。

こいがもう、ずっと立派(じっぱ)か家(えのち)ば、もう晩な作ってみすんもようじゃんなた。

そいぎと〔そしたら〕昔ゃあ、禅門ておったろうがあ。

あいがもう、余(あんま)い立派か家のあんもんじゃあ、

こりゃ騙しゃされとんみゃあかあ〔騙されてないだろうかあ〕と思うて、

まあ、そけえ〔そこに〕泊まったもようたんたあ。

そいぎと、着物(きもん)の破れとったもんじゃい、

木綿針の太かとで、そして、繕(つくろ)いばしてなた。

そいぎぃ、こりやどういうふうじゃいきゃん〔だろうか〕と思うて、

余いよかもんじゃい、木綿針ば刺しゃあたちゅうたんたあ。

そいぎもう、狸の金玉に抜かったもんじゃいなた、びっくいして。

そいから先や騙さんごとなったて。

〔大成 二六六 狸の八畳敷 (AT一一三五、一一三七)〕類話

 (出典 吉野ケ里の民話 P106)

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