神埼市神埼町石井ヶ里 石松ノブさん(34)

 お母さんのさい、お母さんの後妻じゃろうが。そいぎにゃ〔そしたら〕、子供が一人(ひとい)おったてちゃんかんたぁ。

そいぎにゃ、大釜(ううがま)になたあ、大釜あの湯ばたくさん入れて朝、大釜さんの上ば渡してその、

「こいを歩け」て言うてなたあ、茹で殺さるっち言うことは、わかっとっくさんたなたあ。

歩かせんさったぎなた、釜の中に落ち込んで、その子供が死んだち言うがあ。

そいぎい、その子供ば上げて、そして、その釜の際(きわ)にそいば(子供を)お父さんの来んさらん前に埋けとったてちゃんかんたあ。その子供の口から、あの、竹の子の生(は)えたてち言うがなたあ。竹の子の生えて。

そいぎぃ、そのお父さんは切って笛を作つて吹いてみんさったところが、その笛の鳴い

たとが、

継嬶(ままかか)恨めしチンチロリン

京のおみやげ何もらおう

継嬶恨めしチンチロリン

て、そいが鳴いたちやっかんたあ。

そいぎにゃあとは〔そうしたら〕、そいでその継嬶が、そいで子ば茹で殺して埋けとった。

〔大成 二一七 継子と笛 (AT七八〇A)

 (出典 吉野ケ里の民話 P94)

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