ポンポン鳥

ポンポン鳥

語り手 山部朱里

神埼町石井ヶ里 石松ノブさん(明34生)

 むかし。

あるところに、いじわるな姑さんとおとなしい嫁さんが暮らしおりました。

姑さんと嫁さんは、田んぼへ田の草を取りに行きました。

姑さんは、自分ばかり、にぎり飯を持って行ったのです。

昼になったので、姑さんは嫁さんに隠れてにぎり飯を食べました。

嫁さんは腹が減って、家へ帰って昼飯を食べたくなったのです。

しかし、姑さんはにぎり飯を食べ、満腹だったので、

いつまでも嫁さんに草取りばかりさせて帰ろうとは言いませんでした。

嫁さんは、とうとう空腹をこらえきらずに、

「あがろう」と、姑さんに言いました。

すると、姑さんは満腹だったから、

「もう少し、草取いしゅう。草取いしゅう」と、

嫁さんに言って、昼飯を食べに家へ帰ろうとはしませんでした。

嫁さんは、もうどうすることもできなくなって、

「あがろう、ポン」と言って、鳥になって飛んで行きました。

ポンポン鳥というのは、嫁さんが空腹をこらえかねて、

「あがろう、ポン」と言って、鳥になったから、それから言うようになりました。

そいばっきゃ【それでおしまい】。

(出典 佐賀の民話第二集 P45)

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