唐津市鎮西町松島 高平ハツネさん(大5生)

 むかし。

九人娘を持っとって、九人とも呑まれた。

あの、尾が一つで頭が八つかな。

蛇が毎年来よったそうです。

毎年、娘を一年にひとりずつ取っていきよったそうです。

たったひとりになってから、もう、泣きよったそうですたい。

誰か通りかかったら、お爺ちゃんとお婆ちゃんが、娘を中においてですね、

「どうして泣くとね」て聞いたら、

「こんなして毎年、娘をひとりずつ取られてから、

もうたったひとりになってどうしようかて思うて、泣きおる」て言うたら、

「ああ、そりゃ。そんなふうなら、頭が八つあんなら、

八つ瓶(かめ)を持って来てですね、お酒を造りなさい」て。

そしてあの、酒を造らしてからおったそうですとの。

そうしてら、ちょうど来て、そん時も来てから、

酒を飲んだそうですとの、大蛇が。

そうして酔っ払うてから。そしてその娘は助かったそうです。

酔っ払うてから、その人が殺したそうですもんね。

そんな話も聞いとりました。

(出典 未発刊)

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