呼子町小川島 石井与治さん(明26生)

 裏ん川にな、狐の尻尾をつけとくとな。

そして夜()のよしつけとくと、魚の尻尾に毛がある。

それにないが下がって、勘右衛門さんがえらかしたて。

そいでもう、何時(いつ)まで経ってん、あの、魚が食わんですたい。

何時まで経っても食われもんけん、戻ろう戻ろうと思うとん。

くるまでつけとらんこてと、ようらつけとったて。

夜中過ぎたところが、だんだん川の水が凍ってきて、

狐が今度(こんだぁ)キャンキャン叫(おら)び出す。

「叫(おら)ぶじゃあ」て。

もう食うだろう、食うだろうと待っとんさった。

そいで食わんもんじゃいけん、勘右衛門さんに、

「お前(まい)、その、俺(おい)ば騙(だみ)ゃあくりゃきゃあて、

尻は凍(こご)えてしもうた」て、言うていたちゅうたい。そうしたら、

「まあーだお前、辛抱のたまらんもん」て。

そういうことが笑い話にあっ。

(出典 未発刊)

標準語版 TOPへ