呼子町小川島 渡辺キクさん(明26生)

 あの、勘右衛門さんと言わすとはな、唐津の供日に行かしたてな。

そうしたらその、牛蒡(ごんぼう)ばな、一(ひと)くび提げてですね。

そいでその、牛蒡ば持ってお供日そん、

おご馳走(ごつそう)に行ったてな。

そしたら、また出かける方さい持って行かしたて。

その牛蒡ばな。

そして、勘右衛門さんて、そういう良くなか人じゃっけんですから、

そやん聞きよりましたばい。

ズーッと、次から次な、牛蒡ば一束(いちわ)な、

提げて、そして次から次、ズーッともう、

わが出て行く時ゃ、持って帰って。ご馳走食べてな。

それで、勘右衛門さんてしこ名のちいとっちゅうて。

(出典 未発刊)

標準語版 TOPへ