唐津市高島 野崎力蔵さん(明45生)

 宿の人は、お供日参りに行ったところの人はね、

その、何ち言うかね、お使いち言うか、

供日参りの前の日にやっとかす肴(さかな)ば、

それば自分の家に持っていらしたと思って喜んでおらしたら、

一軒、一軒行くうちに十軒ばかり行く間にね、見せぶらかしといてね、

そん、それば見せておくとね、良かこつはね、いちばん客でね、

そん、飲んだり食うたりして、そうすっとね、表に吊る下げとらすもんね。

鯛ば、そん重かつばね、まあ、ぶえんのビシビシしとるいきの良かったい。

で、そんね、ズーッといかすところの家ごと、さしゃん集めてね、

持って来ちゃあおらさんばってん、良かー待遇ばさすわけじゃ。

そして、帰りには、

「ご馳走さま」て言うて、鯛ば持って返って、

こりゃあ、どうしたこっちゃあ。また勘右衛門にやられた。

そげんことば、十軒ばかし、しとらすと。

(出典 未発刊)

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