唐津市木綿町 宮崎利一さん(年齢不詳)

 ある日、勘右衛門さんは川で魚取りをしていたと。

そこを通りかかったおじさんが、

「お前、何ば取いよっか【取っているか】?」と、勘右衛門に聞いた。

すると、

「鯨、取いよっ」と、おじさんに言った。おじさんは、

「うぅん。どこに、とっとっかい?」と、勘右衛門に聞いた。

おじさんは桶の中を覗いてみたら、メダカをすくって入れていたと。

そして、勘右衛門におじさんが言うことには、

「川の中で一番小さいのがメダカであって、海の中で一番大きいのが鯨だ」と。

それから、勘右衛門がおじさんに、

「どこさい行くとか?」と聞いた。

「うぅん。この間、うちの引き臼が飛んだから、どこに行ったか探しよっ。探しよっ」と、

勘右衛門に言った。

「そいやったら、うちの裏のクモの巣に引っかかっとっ。

風で飛ぶような引き臼なら、クモの巣にかかるに違いないか」と、

おじさんに言った。

勘右衛門は、おじさんをこのようにして、やりこめてしまったとさ。

(出典 佐賀の民話1集 P245)

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