杵島郡白石町鳥ノ巣 野中亀三さん(年齢不詳)

 むかし、むかし。

あるところに一番がくさん【先妻】の子と、

二番がくさん【後妻】の子が住んでいた。

秋の亥の日にぼた餅を搗いた。

二番がくさんは、自分の子にぼた餅をたくさん食わせ、

一番がくさんの子には一つしか食わせなかった。

翌朝、父親がいたので二番がくさんは、一番がくさんの子にも、

自分の子にも、ぼた餅を二つ食わせた。

すると、

亥の日より子(ね)の日にまさる朝まさる

 よんべぃいっちょに今朝二つ

と、一番がくさんの子は歌詠みしたげな。

(出典 佐賀の民話第一集 P216)

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