鹿島市東塩屋 松本弘義さん(昭15生)

 ちょうど今BGの前の、あの、重松さんの崖、

あすこんたいは通っ時はですねぇ、

ちょうど私たち、修学旅行の時と思うんですが、

そこではですよ、上からも、

とにかく何か落ちてくっとですよねぇ。そいぎにゃあ、

「ありゃあ、野狐のわかくしおっとぼう」

と言うごたっ風で、自分たちばかい、

そがん言うて、あの下ば走って来よったことのあっです。

ちょうど朝、まだ五時過ぎやった。

まだ暗か時ですもんねぇ。

そいぎぃ、気持ちの悪かやんもんけんが、

全部で同級生のうちの部落は、

私たちの同級生、十二人ぐりゃあおったですよ。

男ばっかり。女が五人か六人やったかにゃあ。

そがんおったけんですよ、あの、

旅行んごたっと、修学旅行に行く時ゃ、

やっぱい一緒に行きよったけんですねぇ。

全部で行きよったですよ。

そん頃はやっぱい、

「野狐から騙しよっと」ちゅうて、

言いおったですねぇ。

(出典 未発刊)

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