鹿島市中村  山下ヤツエさん(大11生)

 男の人にはきれいな女になって、出て来っですねぇ。

私たちが話ではですね、提灯ば、こう提()げて行きよっぎですねぇ、

どぎゃんして消()やすか知らんです。

その提灯ば消()やしてしもうたです。

母と二人で行きよった。

そしてもう、暗かとに山の土手に、もうソロソロソロで、

あの、滑り出しよんさっとですね。

「ああ、今のここにおそいおんさっ。ああ」

ち、言うて行きおっぎですね、

通い過ぎてどのくらい川ば行きおっとの、提灯の、

「あらー。今のは騙されとったたい」

て、言うてですね、行たごとのあっですよ。

真っ黒なっとです。

どがんしとっかわからんけんですね、

もうこうこうしよってもわからんとですね。

そして、もうその、子供の声んごたっですもんね、

その土手に遊(あそ)んどんさっとは。

ガヤガヤ、ハアーハアーて、笑(わろ)うたい何(ない)したいね。

そして、ほんな横は川じゃいですもん。

土手んごと見ゆっとですもん。

(よう、道ば間違えんやったなあ、と思うて。)

そしてもう、どのくらい行っか知らん、ピカーッてその、提灯の。

小学校四、五年生の頃に、不動山からですね、

大草野にかけて姉の家(うち)に行きおっ時ですよ。

昔は歩いてばっかりでしょ。

そいぎぃ、夕方から出おっぎ暗くなってですね。

(出典 未発刊)

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