神埼郡吉野ヶ里町下豆田 材木武尚さん(大5生)
小僧(こうずう)のおらんうち、和尚さんな餅焼いて食いよって。
小僧が帰ってきたもんじゃい、和尚さんなおろたえて〔あわてて〕
火鉢の灰(ひゃあ)ばひっ被(かぶ)せて隠しなったらしか。
そうしたところが、小僧が帰って来て、
大方、俺がおらんうち和尚さんの餅ば食いやったろうと思うて、
火鉢ん中(なき)ゃちょっと金火箸ば差し込うたぎ、餅つん抜いて、
「あつこさい出て、ここさい行たて」ち言うて、ずーっとなた、
回って来た所ば、檀家ば言いやったらしか。
餅ゃあいだけつん抜(に)いて、小僧が。
〔大成 五三三 焼餅和尚〕
(出典 吉野ヶ里の民話 P170)