三田川町田手宿 光吉タマさん(明35生)
あるその、何(ない)かい、
金持ちたんじゃい、一休さんば今夜(こんにゃ)は、
お御馳走すっけんて、案内のあったてじゃろう。
そうしたや、
「このはし渡るべからず」て、書(き)ゃあてあったて。
そいぎぃ、一休さんなその札ば見てね、その端ばし片脇ば渡って行きんさったて。
そいぎぃ、その御振舞(おふんみゃ)あしなっ人(しっ)たんが、
「お前(まり)ゃ、『はしば渡っことなん』て、
書(き)ゃあとっとこれぇ、どぎゃんして来たかい」て、言いんさったて。
そしたら、一休さんな、
「端ゃ渡らじぃ、ぐるいば来た」て、言んさったちて、
一休さんの話さい。
(出典 未発刊)