三田川町立野 福島康夫さん(大6生)

 殿様ですね、結局その、非常に話しが

好きで、ええ、まあ結局もう、面白くて長い話をですね、

した者には褒美をやると、いうお触れがでたそうですよ。

そいでその、頭のいいその、青年がですね、

あの、殿様ん(とこ)に行って、まあ結局、話をしたちゅうわけですね。

結局その、米倉の中に何百俵というその、

米をその、積んでですね、

いっぱい集めてあったと。

それをその、一匹の蟻がその、見つけてですね、

それをその、一粒ずつ持ち出すことになったちゅうわけですね。

そいでその、毎日毎日その、持ち出すちゅうわけですね。そいで、

「もう、そやよか。もう、そいでよかけん」

て、殿様が言うわけ。

「いや、こいから先ゃとにかく、

この米ば全部持ち出してしまわじにゃ、

話されんたい」と言うことですね。

「そんなら、何時(いつ)ごろまでかかっかあ」て、言んさったところが、

「わからん。何十年かかっじゃいわからん」と。

「もう、そいでよか」と言うて、

殿様から褒美を貰ってですね、帰ったと、

言うようなことを、まあ、親父から話聞きよったけんね。

(出典 未発刊)

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