三田川町吉田 徳安達次さん(明37生)
おんぶされながら、お母さんが、
柴の枝ばずうっと折って行きおった。
そいぎ子供が、
「なし、そがんことしよっですか」と聞いた。そうしたら、
「俺と姥捨山にやってから、お前(まい)が帰っ時に道に迷わんごと、
印ば付けて行きよっ」て、言うたぎと、
「こりゃあ」と言うて、そのまま引き返して、
家(うち)に連れて来たと。
強い国の殿さんが、
「灰で縄なえ」て。
そいぎぃ、お母さんに聞くと、
「縄ば燃せ」て、教(おそ)えたから、その人が
殿さんの所(とこ)さい持って行ったと。
そいぎぃ、殿さんから褒美をもろうたと。
その人が殿さんに、
「お母さんから教えたもろうた」と、言うたと。そいぎぃ、殿さんは、
「年寄りは、そがん知恵のあんないば」と言うて、
そいから姥捨山に捨てんよっになったと。
[大成 五二三A 親棄山 AT九八一]
(出典 未発刊)