三田川町上中杖上 堤 ウタさん(明44生)
漁師さんのおんさったらしかです。
その子孫はおんさっですもんね。
そいで、そこに私の小学校に行く道のとこやったですもん。
そこに石の建っとったですもん。
あすこは石建てて、時々しょうめよ院さんのおんさったです。
その人、お経ば上げよんさんもんね。そいぎぃ、
「あすこ、時々お経上げよんさっばんたあ」
て、家(うち)で話しよったですもん。
そうしたら、あすこの先代さんな鉄砲かたげよんさったて。
そうしたら、あの、その、狐がですね、木に止まっとったらしい。
そいぎにゃあとは、こう狙いば定めんさったら、
「ここね、おなかに入っとっけん、撃ってくるんな」て言うた。
そうしたら、その方、
「ああ、そこか」て、ドーンと撃ちんさったらしか。
そいぎね、そいから余(あんま)いその家はね、良かことなかったて。
そいぎぃ、狐の恨みのあったて。
そいけん、あつこに石建てて、
そして葬いよんさんもんね。
そう言うことは聞いとったです。
(出典 未発刊)