三田川町曽根 古賀フユさん(明38生)
あの、息子が二人(ふちゃい)してその、担(いの)うて行たて。
年寄りないなったもんじゃなた。
そうして、婆さんば見とったとこでその、山道じゃっけん葉のあって。
何(ない)の葉じゃい幾らでん。
そいけん婆さんが、その葉ば、いっちょいっちょ、つん切って
落(お)てぇて行きないよってじゃん。
そいけんが、
「わりゃあ、捨てられ行かれよって、
そぎゃん葉ば何事(にゃあごと)落とすかい」て、言うたて。
「あさん達の戻っ時、道で迷おうで思うてその、俺(おり)ゃあ、
わがあ、捨てられや行きよっばってんその、葉ば落(お)とぇて行きよっ」て。
「道のわかっごと戻りぃ」
お母(か)さんの、そぎゃんまで思うといなって。
そいばってん、息子は、う捨てや行きよっとやっけんなた。
姥捨山さい行きよっとじゃっけん。
そぎゃんして、う捨てて来たばってんが、
「ぎゃん思うとっないば」ち言(ゆ)うて、また連れ戻して来なったちゅう話たんたあ。
[大成 五二三A 親棄山 AT九八一]
(出典 未発刊)