三田川町衣村 嘉村 勝さん(明33生)
お爺さんが田ぱ耕しておったぎぃ、
狸が出て来て、
「左ぎにゃあ、ギッチョンチョン。右ぎにゃあ、ギッチョンチョン」ちて、
わやくを 言っていた。
そいぎぃ、お爺さんが腹かいて、追っ払わしたろう。
そいから、その翌日は、
「あぎゃん狸がわやく言うないば、いっちょう敵討ちしてくるっ」
ち言(ゆ)うて、その石に腰掛くっ所に、
鳥黐(といもち)か何かこう、沢山塗ったらしか。
そして、またわやく言うもんじゃい。
そうしたところが、鳥黐の引っ付(ち)いて逃げられんじやったて。(忘却)
[大成 三二A 勝々山]
(出典 未発刊)