吉野ヶ里町吉田 徳安達次さん(明37生)
例えば、部落の公役をですね。
そうすっと、これはもう、私達も経験のあってでしょ。
公役の時に、大概昔は、寄って食べるのが最大の、あの、楽しみ。
それで、
「今日はどうか。半殺しか、本殺しか」と、これ言いよったですよ。
いわゆる半殺しというのは、おはぎのことと言う。
そいから、本殺しと言うのは、餅です。
それで、そりゃあ今、今の子供達は、
そういうようなことは、話しよらんですよ。
ところが、私達は、そりゃあ、あの、女の人も餅を搗こうでては、
男がすでしょうが。隣(とない)近辺ばってんが、私達んごとずらっと並んどっ所は、
「餅搗きの終わった。餅搗きしよっばい、音んしよっ」
ところが、おはぎは幾らしよっても隣の者は知らん。
そいで、おはぎは半殺しともいい、隣知らずともいう、と言うような話。
こりゃあもう、事実あの、今でもそういうふうに言うんですよ。
[大成 本殺し半殺し 四一五 cf.AT一六九八]
(出典 未発刊)