吉野ヶ里町曽根 古賀フユさん(明38生)
猿と蟹(がに)が餅ば搗いたて。
蟹が返しぎゃ行った時に、猿は柿の木に登ったて。
そうしたりゃ、蟹が、
「俺も、いっちょくれーんかん」ち言うたて。
そいぎぃ、
「嫌(いや)」ち言うたてそいぎぃ、蟹が、
「うちのお爺さんは、『餅袋ば枯れ枝さげて食うぎうまか』
ち言うて、言いないよったばん」ち言うたて。
そいぎぃ、猿が餅袋ば枯れ木さげたぎぃ、
枝のおし折れたもんなた。
そいぎぃ、蟹がそいば穴ん中(なき)ゃあもって走ったて。
そいぎ、猿が、
「くいろ」ち言うたて。蟹は、
「嫌(いや)」ち言うたて。そいぎぃ、猿が、
「くれんないば、糞たいかくっちゃあ」ち言うて、
穴ん中に糞たいかけたぎぃ、蟹が尻ばはさんだて。
そいけん、猿の尻は真っ赤て。
[大成 二三 猿と蟹の寄合餅 cf.AT九C]
(出典 未発刊)
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