吉野ヶ里町目達原 弘山フミさん(明42生)
大塚サヤさん(大10生)
猿(さっ)どんと蟹(がい)どんと行き合うてから、
木の上に猿が登ってですね、あの、餅を吊して、
蟹は登りきらんから下から眺めよったて。
そして揺(ゆす)すったら、餅が落ちたそうですもん。
そいで、蟹がクスクスっと、穴ん中に隠れて、
餅ば自分が持って行ったから、猿が取ろうでてして、
猿の尻(しい)ばあの、はさみで切ったて。(弘山フミ談)
「俺(おれ)もくれんかい」て言うたて。くれんやったけん、
「そんならお前(まい)、糞(くそ)ひっかくっじあ」ち言うてね、
尻はぐって穴にこう、しよったて。
そうしたら蟹が出て尻(しい)をはさんだて。
そいけん赤(あこ)うしとっ。(大塚サヤ談)
[大成 二三 猿と蟹の寄合餅 cf.AT九C]
(出典 未発刊)