神埼郡吉野ヶ里町目達原 荒木チヨさん(大2生)
あの、一軒の家、お父(とっ)たんお母(か)さん、
子供が二、三人おったと。
そこにお父たんの叔父(おんじ)さんの、
ちょっと遊びぎゃ来(こ)らしたち言うわけ。
そうしたぎんたあ、その、お茶汲んで出さしたて。
そいぎんとは、お茶を汲んでもろうたもんじゃけん、飲みかけたて。
そいぎい、皆、一生懸命こうして見よってやんもんね。
「何処(どっ)から飲みなっじゃろうか。何処から飲みなっじゃろうか」ち。
そいぎい、欠(か)げのあったい何(なん)かあって。
そいぎちょうど、こい何処から飲むきゃあ。
こっからやろうかにゃあ。
いんにゃ〔いや〕、この欠けた所ない誰(だい)でん飲むみゃあと思うて、
欠けた所から飲みかけんさっ。
「あら、そこは父(とう)ちゃんの所(とこ)。父ちゃんの飲みなっ所」
そいけん、決まっとって。誰が何処から飲むとは。
〔笑話その他〕
(出典 吉野ヶ里の民話 P189)