神埼郡吉野ヶ里町目達原 大塚サヤさん(大10生)
旅行に行た時にですね、
「遠くから来(き)なさったけんが、
今日は何(なん)のご馳走してやろうかあ」ち言(ゆ)うて。
「本殺ししゅう〔しよう〕か。半殺ししゅうか」て、
話しよんさった〔話されていた〕。
もんじゃいけんが〔もんだから〕、旅館に来たお客さんな、
「こらもう、こがんして〔こんなにして〕殺されるんない大変」ちて、
おろたえて〔あわてて〕帰ろうでしんさったぎぃ〔されたら〕、
「あんたたち、何故(なん)そがん〔そのように〕して
慌てて帰っかん〔帰るのか〕。ご馳走しゅうでて思うとっとこれぇ」
「本殺してん、半殺してん話のあいよったけん〔していたから〕
恐ろしかけん、帰よっ」ち、言わしたら、
「こっちは、あの、餅のことを本殺して言(ゆ)うて、おはぎのことを半殺し」
ち言うて、
京都参りした時に、そがんやったとか何とかち、聞きよったですね。
〔大成 本殺し半殺し 四一五(cf.AT一六九八)〕
(出典 吉野ヶ里の民話 P142)