神埼郡吉野ヶ里町立野 福島康夫さん(大6生)
何処(どっ)かへ行って、団子をお接待なったでしょ。
そうしたところが、とにかくその、美味しかったもんだから、
家の伯母さんにも作ってもらおうと、言うことで初めはその、
「ダゴ、ダゴ、ダゴ」で言うて、行きよったところが、
その人が記憶力がなかったかねえ、
その、中途で川にさしかかって、ピョコンと、跳んだところが、どんなにか
「ドッコイショ」じやい、どぎゃんじやい言(ゆ)うてですね。
そいから、
「ドツコイショじや、ドツコイショじや」ち言うて、
その、家に帰り着いてから、伯母さんにですね、
「ドッコイショばいっちっよ〔ひとつ〕作ってくれんか。
とてもあっこん〔あそこん〕とは美味かったじゃあ」と、言うてですね。
ドッコイショてその、今までその伯母さんも聞いたことはなしねえ、
「爺ちゃん、どぎゃんと〔どんなのか〕やったね」て、言うたところが、
どがんじゃいしよってその、瘤(こぶ)んできて、
「団子んごたっ瘤〔団子ののような瘤〕じゃっか」て、言んさったと。
「ああ、そうそう。団子、団子」て、そがん言うてですね、
「そんないば、そがん言うぎんとは作ってくいたとこれえ」て、
言んさったち言う話は、ちょっと聞いとったね。
〔大成 三六二A 団子聟 (AT一六八七)〕
(出典 吉野ヶ里の民話 P126)