神埼郡吉野ヶ里町曽根 古賀フユさん(明38生)

 蜂のその、隣(とない)同士お爺さんのおいなった

もようたんたあ。

そうしたらその、一本松の木のあったて。

そうしたぎその、隣のお爺さんの、

「あっけえない〔あそこにな〕、

ほんによか宝物の埋(い)かっとってたあ」ち、

言いなったてもようたんたあ。

そうしたぎその、隣のお爺さん、

そいが取られんうち俺が掘っぞと思うて、

朝早(はよ)うから行たて、掘いなったもようたんたあ。

そして、掘ってみて、鉢箱のあってっちゃん。

そして、その鉢箱を見てみたら、

その蓋ばちょつと開けてみたぎい、ビーンとしたて、蜂。

「こぎゃん〔こんなに〕蜂の来た。

蜂ないどんないば〔などならば〕、

早う蓋(ふた)していっちょこ〔しまおう〕」て言(ゆ)うて、

蓋して隣の爺さん方さい[へ]持って行きなったて。

そうしたりゃ、隣の爺さんの、

「何の入っちょっかい〔入っているかい〕。

『何じゃい蜂の入っとっ』ち言(ゆ)うて、言いよったらしか」て、

爺さんな隣さい持って行きないよったその爺さんな、

開けてみなっよったぎい〔みられていたら〕、銭ばかいじやったて。

銭の入っとったて。そん時その、

「寝ても福は来っばい〔来るよ〕」て言うてその、

よか爺さんが言いなったち、話も聞いとった。

〔本格昔話その他〕

(出典 吉野ヶ里の民話 P112)

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