神埼郡吉野ヶ里町田手 緒方サヲさん(明38生)

 赤ちゃんのほらねえ、親は死んどっばってん、

赤ちゃん(は)生きとったけんさい、〔生きていたから〕、

墓ん中(なき)ゃあ埋められてから、もうずうっと泣くもんじゃい、

そこさい行ってみたら、赤ちゃんは生まれてできとったち、

そぎゃな〔そうゆう〕話。

女の人が毎晩飴がた買いに来よった。

そいぎい、飴がた屋さんが、晩におかしか〔変だなー〕、と思うて、

つけて行たぎ墓ん中に入って行きよったて。

そして、その〔飴を買った〕お金はね、お金と思うて取って見たぎい、

帰ってから見っぎね、〔見たらね〕、あの、お金じゃなかもんね。

柴の葉とか何(なん)とか、そぎゃんと〔そのようであった〕。

〔大成 一四七A 子育て幽霊〕

(出典 吉野ヶ里の民話 P63)

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