神埼郡吉野ヶ里町力田 平井ワカさん(大7生)

 雪の降いよっ時分に、親父さんの、

「あの、竹の子食おうごたっ」ち、言(い)いなったばってんが、

「ぎゃな[こんな]雪降り竹の子のあんもんかい」ち、誰(だい)でん人の言(ゆ)う。

「そいばってん、お父さんのぞがん[そんなに]言いなっもんじゃい」て、

竹山ば歩(そう)つきないよったぎとは、あの、ちょこっと土の膨(ふく)れ上っとったて。

そして、そいば掘んさったぎい、竹の子の出てきて、あの、近所の人たちの、

「お前(まい)の親孝行やったけん、神さんの、仏さんのぞがんしてくんさったばい」

ち言うて、言いなったちゅう。

〔大成 補遺四 孟宗竹 (AT四〇三B、四八〇)〕

(出典 吉野ヶ里の民話 P219)

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