神崎郡吉野ヶ里町伊保戸箱川 野口トワさん(大3生)
あのね、むかしあの 「その、早(はよ)う来た者(もん)からね、
あいすっ(順番決める)」ち言われて、
鼠(ねずみ)が、一番に。
あの牛がね、
「もう自分な[は]足がのろかけん[遅いから]、先行きよろう[行こう]」
ち言[ゆ]うて、行きよった。
ところが、鼠がねえ、尻尾に下がって来て、
そしてもう、いよいよ終点に着いたぎい[ら]、
自分な跳び降りて、いちばん先に行って、
そいで、あの鼠がいちばんあいしたち[着いたと]言う。
そいで猫は、ちょっと12日ない[なら]12日に決まっとっば、
「明日(あしち)ゃあばい[だよ]」て、教えてね。
そいで鼠はもう、嘘言うて自分そぎゃん[(が)そのように]して、
猫はあたい前聞いて、もう12日ない12日、今日はもう、
早う行かんばと思うて来たばってん、もう済んどったてぇ[済んでいたと]。
そいで、猫が腹かいて[怒って]、
鼠ば追っかくっごと[を追っかけるように]なったち言うて。
そいばっきゃあ。
[大成 一二 十二支の由来(AT二七五)]
(出典 吉野ヶ里の民話 P12)