神埼郡吉野ヶ里町吉田 徳安達次さん(明37生)

 こりゃ、中国の話で孟宗という人が親孝行で、たったひとりのお母(か)さんに、

非常にあの、親孝行しよったところが、病気をお母さんがしたと。そして、

いろいろあの、看病しよったところが、

「あの、俺(おり)やあ、ほんに竹の子食おうごた[食べた]っもんなーい[いんだよ]」て、

そのお母さんが言(ゆ)うた。それで、その孟宗という子供がですね、

「今頃に竹の子の、どがん歩(そう)ちいたっちや、あるはずがない」

ところが、親孝行の子供さんだから、

「そがん[そんなに]、お母さん言うない

行たてみゅうかのまい」と、言うて、その畑に行たて。

そして、こうして尋(たん)ねよったところが、目の前にチョマッと、こう出た。

そいで、「ああ、これはどういうことじゃろうかあ」と言うて、

喜んでその竹の子を家(うち)に持って、お母さんに食べさせたと。

それで、普通の竹の子よりも孟宗は近いでしょうが。その人の名の孟宗ということば、

今日の孟宗竹だと。

こういうふうなこと、学校で聞いたですよ。

〔大成 補遺四 孟宗竹 (AT四〇三B、四八〇)〕

(出典 吉野ヶ里の民話 P221)

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