伊万里市波多津町煤尾(名前・年齢不詳)
勘右衛門さんのですね、あの、あっち、京の方に上って、
あの、富士の山ば見てですよ、
「あの、高(たっ)かね、高かね」ち言(ゅ)うちゅうち、
大抵、あの、そこまらん人の寄らしとったちゅう。
そうしたら勘右衛門さんの言わすことにゃ、
「家(うち)ん方にゃ、まっと高か山のあっ」ち言わす。
そしてあの、京の人たちの、
あの、見えらしたら勘右衛門さんのいわすごと。
「鏡山ば見てんのう。これが富士の山よいた高か山たい」
ち言(ゅ)うと、
「こりゃ、富士の山よいも低(ひっ)か」ち言(い)わした。
「今、こりゃ鏡山ちゅうて、かごうじょるけん」ち。
そこまで。
(出典 未発刊)
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