伊万里市波多津町煤尾(名前・年齢不詳)男性二名

 今度(こんだ)あ勘右衛門どんの、

「あの、佐志の町(唐津市)、

今日(きゅう)は余(あんま)い仕事もなかけん」ち言うて、

フラフラして、歩(さる)きよらしたら、

道、色ん良か三年味噌漬けごたる、

味噌漬けの落(おっ)ちゃえとったそうな。

そりば拾(ひる)うち、あの道端腰掛けて食いよらしたら、

何処(どっ)からじゃい婆(ばあ)やんの来て、

「お前(まえ)、何(なん)食いよるかい」ち言わす。

「今、味噌漬け拾うち食わすけん、

こりゃあ味の良(ゆ)うして美味(うま)か」

ち、言わしたそうな。みたらそん婆やんの言わすことにゃ、

「そりゃ、俺(おり)がもう痔の悪うして

三年も尻挟(はす)うどった味噌だったんじゃあ」

そうそしたらまた、勘右衛門の胸の悪うなって。

そいからまた、川行たて口ばすすぎよらしたち。

そしたらまた、そん時もそん、口ばそそがしたその上には

肥タゴば洗りいよらしたとこじゃった。

そいばっかい【それでおしまい】。

(出典 未発刊)

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