伊万里市波多津町煤尾(名前・年齢不詳)男性一名

 他所(よそ)に行ったら唐津の裏町にゃ勘右衛門さんて大抵その、

あの、ううばち語りちゅうか何(なん)ちゅうか、

それからあの、知恵者のおらすて。

知恵較べに行こうじゃて、他所から来よらしたそうな。

そして、来よったところが道が聞かんばわからんじゃったけん、

子どめ聞かしたところが、子どんが川ん中で、

あの、何(なに)かしょうけですくいよったもよう、魚ば。

そいで、

「あら、何(なん)しよんなあ」ち、その挑戦者が聞かしたわけ。

「俺(おり)ゃ、鯨すくいよっ」ち。

「鯨ばそがんとすくわるんもんな。

家(うち)ん母(かあ)ちゃんな

今朝の貝(きゃ)あたぐいですくわしたばい」ち。

そいまで。

(出典 未発刊)

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