伊万里市波多津町馬蛤潟 男女一名

 便所神さんは女(おんな)神さんじゃなかですか。

あの、便所にほら、女神さんじゃるけん、

バーッと髪ば、あの、広げてぇて休んだちゅう。

それに男がパーッと踏んだ時、それで便所に入る時は、

エヘンてこう咳をして立ってくれちゅう意味で入(ひ)ゃあっと、

咳も何もせじいきなり踏んだ場合は、ひょっとすれば、

その、一命取るとば病気に罹(かか)るて聞きよったです。(男談)

そいけんあの、女は私どんがあぎゃんとん時ゃ、言いよらしたですよ。

髪ばですね、洗いのまま行くもんじゃなか、

こうくぐって行けち、言いよらしたですよ、

便所に行く時はですね。(女談)

便所神さんは女神さんで、さんだら髪で休んじゃっとかて。

それその、前行ってバンと乗った場合はいかんと。

そいで便所に入る場合は、必ず咳をして、

入(はい)りますちゅうような咳をして、

すっと髪のバーッととりのくとかて、聞きよったです。

花は隅のところに上げる。(男談)

便所掃除はきれいにせじにゃ、良か嫁御もらわんち、

言うち聞かせよらした。

そいけん便所はきれいに、あの、掃除ばしとかんばよ、

て言いよらした。(女談)

(出典 未発刊)

標準語版 TOPへ