伊万里市立花町渚 松尾テイさん(大5生)
梟は、もう昼は当り前、出て歩きえんとやっけんとなたあ、
ろくなやつじゃなかて。
当たり前ねぇ、昼、お天道さんの前、出わえんとはろくなこっじゃなかて。
そいぎねぇ、あの、何時かお話したでしょう。
梟が何で昼は出て歩きえんかちゅうぎぃ、烏ば、真黒染めらしたけん、
烏からねぇ、打っ手替ぇし受きゅうごだっけん、出わえん。
だから、結局、人に意地悪すれば自分に返ってくって、あの、言うでしょう。
だから、自分の身に適うしこでよかけん、人には親切にしとけて。
自分が人からされて否(いや)なことは、絶対に人にして返すぎでけんちて、
家(うち)のお婆ちゃんな言いよらしたもんなあ。
だから、そういうあいで、梟が出わえんと。
結局、烏のためには意地悪になったわけですよ。
真黒、足からなんから、頭ン先、爪ン先まで真黒にしたけん。
だから人間はちゃんと、昼(ひん)の日中、
お天道さんの前、出わゆっごとしとらんば。
結局、人目を避けて、あいせんなんごたっことすんなちゅうて。
(肥前伊万里の昔話と伝説 P75)