伊万里市立花町渚 松尾テイさん(大5生)

お釈迦さんがね、

「あの、当番ば決むっけんが、あの、何日の日集まれ」て、

触れば出しござったとて。

そうしたらね、そいば猫がちい忘れて、

何日の日か忘れたもんじゃっけん、鼠に、

「お釈迦さんの集まれて言んさったじゃったとは、

何日の日じゃったかにゃ」て、聞かいたて。

そうしたら、その鼠が利巧かもんじゃいっけん、一日遅う、

「『十三日集まれ』て、言うわしたい」て、言うたそうですもんねぇ。

そいぎんた、

「そうねぇ」ちて、十二日まじゃゆっくい構えとらしたたい。

「明日いくぎよかもん」ち。

そうしたら、その鼠は、ちゃあんと、十二日て知っとんもんじゃっけんが、

十二日朝からようしとらしたぎぃ、

牛がのそのそ、もう、俺ゃ歩き方が遅かけんと思うて、

「早う出かきゅう」ち、行きよっと。

そいぎ鼠が、そいば見て、ありゃ、牛はもう出かけよっとおもうて、

牛の尻尾にちょっと、かがい付かしたちゅうもんなたあ。

そうして、我がこたあ、悠々と牛ン尻尾にかがい付いて、つんのうて行たて。

丁度牛がお釈迦さん方の門の所で、?(あぶ)の頭ゃあかぶいついたもんじゃいけん、

尻尾でポッて払るわいたとて、?(あぶ)をね。

その調子ピーンて、先ぃお釈迦さんの門の内入あらわれたて。

鼠が。

そいけん、鼠がいちばん口ていうもんなた。

そいで、ずーっと牛・虎て、ずーっと順々に行ったそうですたい。

そいぎ猫は、もう十三日て思ぇくうどんもんじゃっけん、ゆっくいしとらしたもようけん、

その、もう、番外にいちなったて。

そいから歯痒うなって、

「あん畜生、鼠が俺ばきゃあ騙ゃあた」ちゅうわけで、もう万劫末代、目の敵したて。

(肥前伊万里の昔話と伝説 P50)

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