藤津郡太良町上川原 田島貞夫さん(年齢不詳)

 むかし、むかし。

あるところの家に、娘が住んでおった。

ある晩から、百足(ムカデ)が青年に化けて娘の所に通って来ていた。

娘は、いつの間にか妊娠した。

そして、娘の体の具合がおかしくなった。

ある日、娘の家に物知りが尋ねて来たので、家の人が心配そうに、

「うちの娘は、どうもこの頃体の調子が悪か」と訴えた。

物知りは娘の家の人に、

「そりゃあ、菖蒲酒を飲まするぎにゃあ【飲ませると】良か」と言った。

すると、娘の家の人が菖蒲酒を作って、娘に飲ませた。

そうしたら、娘は百足の子を流産した。

そいばっかい【それでおしまい】。

(出典 佐賀の民話第二集 P218)

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